始まっているのか?
おにぎりひとつとカロリーメイトをミネラルウォーターで流し込む。
無表情に、機械的に、作業の一環としての小さな食事。
絶望的な空腹状態にあるわけではないが、空腹状態は避けていなければならない。
何に対しても何かを本気で始め、さらにそれに対して結果を求めるのであれば、空腹・満腹感は避けるべきであると思う。
肉体も脳も圧倒的な満足感と絶望的な飢餓感の中では戦えない。
たぶんそれは科学的にも検証されているだろうし、
自分の「これまで」もそれにはイエスを出している。
コンディショニングの初歩ってところはコレか?
始める前が一番難しい。
たいがいのことは、始める前にはもう始まっているのだから。
伸ばす。
とにかく思いつく限りで体中のあらゆる部分を伸ばす。
腰、肩、腕、股関節、首。
ゆっくりと伸ばす。
呼吸は大事だな、とこの時実感する。
無理はするな。チャレンジをしろ。
無理しちゃ辛いだけで続かない。でもチャレンジは同じ辛さでも楽しいはず。
そう言い聞かせるようにして始めた自宅でのトレーニング。
失敗も挫折も何度もした。
「意地」だけで身の丈に合わない重量。
不適当な回数。
フォームが狂っている。
無知。ということ。
「本気でやっている」と自己満足をしていたものだから、
無知であるが故の失敗・挫折は精神をも打ち崩した。
原因がわからない。
誰よりも努力してきただろう?
アスリートでもないのに、かなり自分を追い込んできたんだ。
やればやるだけ結果は出るものではなかったのか?
負けなかった。休みなどいらなかった。
あいつらとは違う。
俺は間違ってはいない。
間違ってないって言ってほしい。
やり直しには勇気を伴う。
自分で自分を否定するのは辛い。
しかし自分自身にしかできないことでもある。
やるんだ。今すぐに。
なんだか自分が消えて行ってしまうような気がする。
あの時の始まりとは違う。
もう一度始めよう。失敗という経験と体験からをも得た知識と感覚を武器に。
本当に手に入れたかったものよりも、得てしまった?ものの方が大切になるなんて。
「失敗は成功のもと」と人は言う。
一つ加えたい。
「本気の失敗は」と。
でも成功ってなんだろう?